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５．マリア |
| 「で……結局、クルツ博士は何を研究してたんだ？」 さあね、とグレートは肩をすくめて、両手を軽く上げた。 「何でも……アルゴンヌのＡＰＳの中心人物だったらしいぜ」 ジェットの答えに､グレートはますます混乱したように首を傾げた。 「アルゴンヌ？ＡＰＳ？なんだそりゃ？」 お､おい待て、俺もよく知らないんだ、と助けを求めるように、ジェットは窓辺に立っていたハインリヒを見た。 「アメリカの大型放射光施設。同じようなのがフランスと……もう１つは日本にある」 腕組みをして、窓の外を見たまま、ハインリヒはボソっと呟いた。 「日本に？」 「何アルね？その大型放射能って？」 「放射能じゃない。放射光だ。俺だって―――」 あまりよく知らないんだが、とハインリヒはソファーに腰をおろし、言葉を続ける。 「ギルモア博士の解説だと、その光は―――従来のＸ線発生装置から出る光の、１億倍の明るさなんだそうだ」 「いったい何に使うアル？」 「本来は、その明るい光を利用して、物質の分析や合成や……身近なところでは医療用に使うらしいんだが……」 語尾を濁したハインリヒの言葉を、ジェットが続ける。 「まあ、アイツらが欲しがったってことは……いいことに使うんじゃないな」 「しかも、クルツ博士は―――」 ＡＰＳを去った後、自分の研究所に引きこもり、密かに研究を続けていた。 そして最近、その放射光発生装置の超小型化に成功した、という。 「発生させた光を安定させるためのリングは、１周１ｋｍ以上あるんだぜ。それを……車ほどの大きさにした、っていうんだから―――｣ 「だから……つまり？」 どうなんだ？と、グレートと張大人が顔を見合わせた。 「加速器はどこにだって運べる。たとえば―――戦車や戦闘機にくっつければ……」 一同の顔が一斉に曇る。 ＢＧが、何としてもその設計図を手にいれようとしたのも合点が行く。 「だがよ、博士があんなふうに……」 ジェットの言葉に、ずっと黙っていたジョーが口を開いた。 「そうだ。マリアがすべての鍵を握ってる。だから……」 「その姫をお守りするために、我々９人のナイト、ここに集う、ってわけだな」 茶化すようなグレートの言葉。だが、誰の顔にも笑みはなかった。 ギルモア博士が、大学の後輩だったクルツから、相談したいことがある、という連絡を受けたのは、つい１ヶ月ほど前のことだった。 日本を訪ねたい､という博士の申し出に、ギルモアはふたつ返事で答えた。 だがー――。 かいつまんで聞いた事情の背後に、ギルモアは、何となく納得のいかないものを感じた。 どうやらクルツは、危ない橋を渡っているようだった。 「あなたに、あるものを―――そう、設計図を預けたいんです｣ 郵便やＦａｘで送るわけにはいかない。だが今はちょっと都合がつかないので、またこちらから連絡する、とクルツは電話を切った｡ かなり切迫していたようなのに、その後、半月たっても彼からの連絡はない。 とりあえず、日本にいたジョーと張々湖、そしてアメリカのジェットとジェロニモに声をかけて、クルツの研究所に向かわせたのだが―――。 ほんの一瞬の差で間に合わなかった。 彼らが博士の研究所に駆けつけた時、すでに研究所はＢＧの一団に包囲されていた。 そこに、００ナンバーが現れるなどとは予想もしていなかったらしく、敵はあっけなく蹴散らされた。 だが、肝心のクルツ博士は―――娘のマリアをかばって、ＢＧの銃弾に蜂の巣になって倒れていた。 クルツ博士が何をしようとしていたのか。 彼がギルモアに渡そうとしていた設計図はどこにあるのか。 残された娘のマリア。 そのすべての鍵を握っている。当然、ＢＧが次に狙うのは―――彼女だ。 マリアは美しい少女だった。 まっすぐな黒髪と、濡れたように輝く黒い瞳。つやのある褐色の肌。 目の前での父の死に大きなショックを受けていたが、必死に耐える姿がけなげだった。 ギルモア研究所に落ち着いてから、日に日に本来の朗らかさを取り戻している。 そして、父を救おうとし、自分を命がけで守ってくれた００９を慕っていた。 それは誰の目にも明らかだったし、素直に自分の気持ちを表に出す姿は、むしろ微笑ましかった。 「ねえ……００３、これはどうすればいいの？」 研究所のキッチンから、マリアとフランソワーズの明るい声が聞こえてきた。 「あーっ！もう、私ったら！……大失敗しちゃったわ！どうしよう……」 まるで昔からの友達だったかのように、マリアは親しげにフランソワーズに話しかける。 「こうしておけば……焼いたらちゃんと綺麗になるわ。大丈夫よ」 ２人は、楽しそうにパイ生地をこねたりたたんだりしている。 「ありがと！そっかあ……そんなふうにすればいいのね！」 同性のフランソワーズから見ても、マリアは本当に魅力的だ。 ジョーが姿を見せると、彼女の顔はパッと華やぎ、嬉しそうに駈け寄っていく。 「００９！ほら、見て！初めて作ったにしてはすごいでしょ？」 粉で真っ白になった手で、彼をキッチンに引っ張って来る。 「あなたに食べさせてあげたいと思って、頑張ったの！おいしいはずよ！だって……私の気持ちがこもってるんですもの」 本当に素直で屈託のないマリア。 いきいきとして、夏の太陽のように周囲を明るくする。 うらやましかった。好きな人への気持ちを、何の躊躇もなく表に出せる彼女が。 自分の大好きなあの優しい目で、ジョーはマリアを見つめている。 彼の柔らかな茶色の瞳。 （この眼差しがなければ、きっと私は――あの日々を生き延びてこられなかった） 戦いの最中に、何度も、辛くて耐え切れない場面に遭遇した。 その度に、救いを求めるように彼を振り返った。 厳しい顔をしていたジョーが、ふっと表情を緩める。 そして、君の気持ちはわかる、という目をして頷いてくれる。 ただ、それだけのことだった。言葉も仕草も何もない。 でも彼の眼差しに、どれだけ勇気づけられただろう。 なのに、その優しい目が、時折、深い翳りを帯びることに、フランソワーズは気づいていた。 誰も寄せつけない、底知れぬ孤独の色。何もかも突き放す、あきらめきったような淋しい目。 そう―――彼は、彼自身をとても冷やかに見つめていた。 いったい何が彼にそんな目をさせるのだろう。 それに気づいても、どうしていいのかわからなかった。 そばにいて、黙って、彼を見つめていることしか―――。 でも彼が自分を必要としているとは、とても思えなかった。 （この間も……ジョーはたった一人で沈んだ顔をしてた。一緒にいても……私は何の力になることもできない……） なぜ闘う？ 何のために？自分たちが生き延びるためにか？ 「敵」という名がついていれば、その命を奪ってもいいのか？ いつも、彼は自問自答しながら戦い、自分を責めているようだった。 戦いが終わって、研究所に戻る時、隣の席にいるジョーは、いつも張り裂けそうな目をしていた。 闘う道具にされた悲しみ。 血を流すことの空しさ―――自分と一緒にいる限り、それを忘れることはできないのだ。 彼らは、むしろその悲しみを共有する仲間なのだから。 （だから時々、あんなにも辛そうな目で私を見るのね……） それに比べて、マリアと一緒にいるときは、彼の表情はずいぶん明るく見える。 彼女なら、彼の心を癒せるのかもしれない。 （私に……できることは……何もないの？） マリアに微笑みかけるジョーの横顔を、フランソワーズは淋しげに見つめた。 ＊ 夕食の準備をしていると、マリアがキッチンに入ってきた。 美しい顔が、ほんのりと紅潮している。 「何か、いいことあったの？」 笑顔を向けて問いかけたフランソワーズに、彼女はいっそう頬を染めて頷いた。 「００３、ごめんなさい……私……」 「え……？何のこと？」 彼女が何を言おうとしてるのか、全く見当がつかなかった。 「だって……あなたはほんとに綺麗なんだもの。うらやましいわ……みんな、あなたのこと、とても大切にしてるし……。」 （うらやましい？私が？） 思わず手を止め、怪訝な顔でフランソワーズはマリアを見つめた。 「私、ほんとに彼のこと好きになっちゃいそう……。もし恋人がいたらどうしよう。いたからって、今さら諦められるかどうかはわからないけど。とにかくうじうじしていたくないから……彼に直接、確かめたのよ」 「確かめた？」 「そう。好きな人はいないのって、聞いちゃった！」 マリアは、フランソワーズの耳元で少し恥ずかしそうに囁く。 「そしたら……まじめに答えてくれたわ。いないって」 肩をすくめてくすっと笑い、マリアは言葉を続ける。 「ねえ、００３、私……正直に言うと……あなたに……ちょっとヤキモチ焼いてたの。ごめんなさい。だってあなたたちが…どういう仲間なのかよくわからなくて。すごく軽薄なこと考えてたの。学校の……仲良しグループじゃないのにね。ほんとバカだわ、私ったら。あなたはいつも……彼と一緒にいられていいな、なんて勝手にそう思ってたの。でも００９が言ってたわ……」 『―――ほんとにいないの？どうして？』 『どうしてって……。そんなこと考えてもみなかった』 『だって普通はそうよ。あなたみたいな素敵な人に恋人がいないなんて……』 『確かに……僕は普通じゃないから……』 『じゃ……彼女のことは……？』 『……彼女？』 『００３のことにきまってるじゃない！』 『００３？……彼女は………………仲間だよ』 『仲間？』 『……・そう。僕たちは……９人で、いや１０人で一つの家族みたいなんだ。みんな大事な仲間だ。まだ、出会ってから数年だけどね、僕たちは昔からずっとそうしてたみたいな気がする。それこそ、普通じゃない状況にいるからだろうな』 『じゃあ……私、立候補しちゃおかな？』 『……立候補？』 『もう……００９ったら！全然わかってないのね！』 『何のことだい？』 『ホントにわからないの？……誰のために私が一生懸命パイを焼いたと思ってるの？』 『え？』 「ほんとにじれったかったわ！あの人、全然わかってないのね。でもあの様子だと、ほんとに好きな人はいないみたいだから……安心しちゃった」 マリアは口を尖らせたり、顔をくしゃくしゃにして笑ったり、本当に幸せそうに彼の話をする。 （うらやましいのは――私のほうよ、マリア……） 胸に鋭い痛みを覚えながら、フランソワーズは俯いた。 「ねえ、あなたは恋人いないの？」 マリアはフランソワーズの顔を覗き込んだ。 「あなたはね―――私がこんな女の子になりたいな、って思ってたとおりなのよ！ホント、初めて会った時、びっくりしちゃった。なんて綺麗な人なんだろうって……」 マリアはにっこり笑って、立ちつくすフランソワーズをぎゅっと抱きしめ、頬にキスした。 食器棚から皿を取り出し、ダイニングへ運びながら明るく言葉を続ける。 「００９も言ってたわ。あなたなら、素敵な彼がいても不思議じゃないって。誰だってそう思うわ」 胸のあたりがじんと痺れて、先ほどの痛みすら感じなくなる。 すべての感覚がなくなったようだった。 （ジョーが……そんなことを？） どうして？どうして……そんなこと……。 大きく目を見開いていないと、つい涙がこぼれてしまう。 「ねえ……００９ってどんな人なの？」 テーブルをセットし終えたマリアは、こちらへ戻ってくると、また声をひそめて尋ねた。 「私、いろいろ知りたいのよ。あなたの知ってること、教えて！」 なんて真っ直ぐなんだろう。彼に惹かれる気持ちをこんなふうにストレートに出せるなんて。 それに引き換え、自分は……。 「たとえば……どんなことを？」 声が震えるのがわかる。 「彼はどんなものが好きなの？食べ物とか……趣味とか……」 （これが普通なんだわ。好きになった人のことをいろいろ知りたいと思うのが……） 昔、男の子たちとした会話を思い出してみた。 映画とか本とか……彼らには興味がなかっただろうけど……バレエの話とか。 でもそんな話を、彼とゆっくりしたことはほとんどない。 一緒にいるときは、いつも生きるのが精一杯の状況だった。 自分たちの置かれているその場所からいかに生き延びるか。それだけで必死だった。 だから、平和なときは、何にも怯えずに一緒にいられるだけで幸せだったのだ。 ただ、静かに星を眺め、風を感じ、空を見つめて、一緒にいられるだけで――― フランソワーズは、躊躇いがちにマリアに答えた。 「私たちは……そんなこと、ほとんど話したことない気がするわ。いつも一緒にいるときは……そうね、何か事件があって、とてもそんな余裕なかったから」 何とか微笑んでみせる。 「だから、私もすぐには思い出せないわ。もしかしたら、よくわかってないかもしれない。ごめんなさい……」 「あ、そうよね。……ごめんなさい。直接聞いてみればいいのよね。さあ、みんなを呼んで来るわ！」 マリアは、食事の支度ができたことを告げに廊下へと向かった。 その後ろ姿を見送りながら、小さく溜息をつく。 一度にいろんな思いが押し寄せて来る。 （私は……ジョーのことを、何もわかっていないのかもしれない） ずいぶん長い間、一緒にいたような気がしたのに。 だがそれは、あまりにも日常とかけ離れた状況だった。 予想もしなかった運命。 その偶然の結果、たまたまこうして出会い、同じ時を過ごさざるをえなかっただけ。 お互いに望んで、ここに一緒にいるわけではないのだ。 （そんなこと、わかっていたのに……） そっと窓の外を見上げる。 白く細い月が、闇に滲んで見えた。 ＊ 「とにかく……これからどうするよ？」 夜が更けるにつれ、しんしんと冷え込んできた。ジェットは暖炉に薪をくべると、皆を振り返った。 「彼女は狙われているわけだし、一人にしておくわけにはいかない」 「それはそうだがな、ジョー」 厳しい顔でハインリヒは、窓際に立つジョーを見つめた。 「俺たちと一緒にいても、危険なことには変わりないんだぜ。また奴らが不穏な動きを見せていることは明らかだ。このままにはしておけない」 勝負は先手必勝だ、と語気を強める。 「だけどよお、もし、アイツらが秘密を知ったら、それこそエライことになるぜ」 スコッチ片手に、ソファに反り返ったグレートの言葉に一同は頷く。 「だが考えなきゃいけないのは、俺たちがどうするかってことだ。敵さんところに突っ込むなら、とてもじゃないがあの子は連れて行けない。足手まといだ」 「ハインリヒ！じゃあ……どうしろって言うんだ？もしマリアが……」 「なら……ずっと逃げ回るっていうのか？敵に追いつかれるまで？逃げてたって何も問題は解決しない」 「でも……彼女が安全でいられる場所がない以上……僕たちと一緒にいたほうが……」 フランソワーズはぼんやりと彼らのやりとりを聞いていた。 ジョーの言うこともわかる。だがハインリヒの言うように、逃げていても仕方がない。 いつかは……。 どちらにしても、また戦いの日々が続くことになるのだ。 もう自分たちの本来の生き方に戻らなければならない。 ―――本来の生き方？ サイボーグとして生きることが、自分たちの本来の生き方になってしまっている？ いつのまにか……そうなってしまっている。望んではいないのに。 溜息が出そうになるのを、必死にこらえた。 「いいか、ジョー。あの子は完全な生身なんだ。ずっと庇いながら闘うことなんかできない。 俺たちだってどうなるかわからない。研究所の地下のシェルターにでも……」 「そんな……生身だっていうなら……フランソワーズだってほとんど生身じゃないか」 突然、自分の名前が彼の口から出たことに驚き、はっと顔を上げた。 （ほとんど生身だから……だから？） 体の震えを抑えることができなかった。自分がつまらないことにこだわっているのだ。 彼はそんなつもりで言ったのではないとわかっている。 でも―――。 「おい！ジョー！それは話が違うだろう？フランソワーズは俺たちと同じ」 「だが戦闘能力からいえばマリアと」 「オマエ、本気でそんなこと」 「２人とも！いい加減にしろよ！」 ジェットの大きな声に、２人ははっと我に返ったように黙り込んだ。 重く響く柱時計の音。 彼女はいたたまれなくなって、顔を伏せた。 「とにかく―――今日はもう寝よう。続きはまた明日だ」 ピュンマのとりなすような穏やかな声に、皆は黙って頷き、それぞれの部屋に戻っていった。 しん、とした静寂と闇の重さに押しつぶされそうだ。 フランソワーズは呆然と、自室のベッドに腰をおろしていた。 とても眠ることなどできそうにない。今日１日こらえていた涙が一度に溢れてくる。 どれもひとつひとつは些細なことなのに―――。 部屋に戻る時、ハインリヒが彼女の肩をぽんと叩いた。 『気にするな……』 黙って頷いた。そんなことを気にするほうが間違っている。 懸命に言い聞かせようとするのに、勝手に涙が出てしまう。 自分が情けなかった。 『彼女は……・仲間だ』 もちろんそうだ。とても大切な仲間。 （でも……あなたと一緒にいたいから、ただそれだけでここに来た。それが私の本当の気持ち……） いつの間にか、自分は彼に仲間以上のものを求めている。 辛い戦いの中で、いつも彼の心と自分の心は、とても近いところにいるような気がしていた。 だが、それはそうならざるを得ない状況だっただけだ。 命の瀬戸際、という日常では考えられない場面に追い込まれていた。ただそれだけだ。 お互いの心が呼び合って、求め合ってそうなったのではない。 そのことを、今、思い知らされたような気がした。 でも、それだけでも十分ではないか。一番辛い時を、今まで分かち合ってきた。 仲間として。かけがえのない仲間として。 でも…………。 仲間として私は何が出来る？ 彼が言っていたとおりだ。 卑屈になってはいけない、とわかっている。でも―――。 普通じゃないのに。もう普通の人間じゃないのに。 なのにサイボーグとしても、私は完全じゃない。 他のみんなと比較にならないほど、戦闘能力は低い。 いつも誰かが自分を庇ってくれた。 特にジョーは。 いつも自分の身の危険を顧みずに。 なのに、力になりたいなんて……。 どうしてそんな思い上がったことを考えたりしたんだろう。 また涙が溢れた。 今、自分がどうすればいいのかわからない。 こうなるまでは……サイボーグになるまでは、自分が頑張れば自分の人生は切り開いていけるのだと信じていた。 謙虚に努力すれば、少なくとも自分が後悔しない生き方ができると思っていた。 失敗しても、うまくいかなくても、ただめそめそしているだけの人間じゃなかった。 （だけど……今の私は、何を、どうすればいいのだろう） 何をしなければならないの？ なぜここにいるの？何のために生きているの？ 本来の生き方―――もう、私はここでしか生きられないのに。 でも…………。 自分の問いに追いつめられ、息苦しくなってベランダに出た。 身を切るような寒さ。 頭上には満天の星が輝く。冬の星座が空を美しく飾っている。 だが、その冷やかな光は、心をいっそう凍えさせただけだった。 |
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