 最も有望な００１の候補Ｄ６。いまだ十分とはいえない加速装置の性能。強度に不足のある強化服。それらはみんな、Ｄ６の身体そのものを素材として実験されている。まさに、モルモット。体をひねりつぶされそうになり、撃たれ、墜落する彼。修理され、またテストされる。試験体の中でも、最も初期段階の試験体らしい過酷な試練を乗り越えてきた彼。過酷な状況の中でも、ひとり懸命に闘って生き延びようとする。とても強い。健気で、まっすぐで。そんな彼が、誰よりも優れた体を持っていながら自ら進んで闘おうとしない００９を、歯痒く思うのは当然ですよね。でも彼は暴れん坊なだけじゃない。とても優しい。恐怖に逃げ惑う少女に手を差し伸べ、咄嗟に庇うその仕草に、さりげない気遣いが溢れてて。堂々としてて、とても頼りがいがある気がしました。そうね。彼の紙芝居「サイボーグ００２」の妄想は、ここから来たものだったのね。ネタバレになりますが、ヨミ篇のラスト。顔を覆って泣き崩れるフランソワーズをじっと見つめるジェットの顔、すごく印象に残ってるんです。そして彼は決心する。成層圏に向けて、飛び上がっていく。ええ、このあとのアルさまとフランちゃんの場面同様、とても妄想が膨らむシーンなんですよね。「どうして・・・こんな・・・」 フランソワーズの絶望的な呟き。気がついたら追われていた。自分の目が、耳が普通でないものを捉えてしまう。「わからないけど聞こえるの。見えるの、私には」「それが『性能』なのか？」と聞かれても、彼女にはその意味さえわからない。哀しいです。空から地上を見下ろして悲鳴を上げる彼女は、まだ普通の女の子なのに。「キミ達が生き延びるためには、闘うしかないんだ」頭の中に語りかけてきた不思議な声。「馬鹿なこと、言わないで！！どうして闘わなければいけないの？どうして、私たちが・・・」 幸せの絶頂から、こんな戦場に連れてこられた少女。この時、ジェットとそしてアルベルトが一緒にいてくれて、本当によかった。すばやく相手の能力を見抜き「一緒に組もうぜ」と言うジェット。ニヤリと頷くアルベルト。自分たちの「性能」を積極的に確かめようとするかのように、二人は戦闘態勢に入る。彼らに置き去りにされ、不安でたまらないフランソワーズの表情。無事地上に降り立った２人のところに懸命に駆け寄っていく、必死な姿。２人がいなければ、彼女がどんなパニックに陥っていたかと思うと・・・胸が痛いです。 |
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