 |
果てしなく続いた戦い。人々は互いに殺し合い、大地を汚し続けてきた。その愚かな行為に、神々が鉄拳を振るう。かくして、また破壊され、命は奪われる。神業が、徹底的に、完膚なきまでに、人を大地を叩きのめして。その結果、争いはなくなった。終わったのではなく、なくなった。そして, そこにはもう何も残っていない。破壊され尽くした、瓦礫の山以外には。 「これが・・・平穏だというの？」 命の気配さえない、死の静寂。それを「平穏」だと言うのか？００９のセリフ。それをフランソワーズの言葉として回想するアルテミス。今回、こうして彼女たち２人を直に向き合わせることで、００ナンバーたちとミュートスの対比がうまく浮き彫りにされていく。それぞれのグループの中で、最も争いを望まない存在の２人。戦うための道具に「されて」、その能力を疎ましく思う００３。「能力がその人を幸せにするとは限らない」から。一方、神としての優れた能力に誇りを持ち、その力を崇高な理想のために使おうとするアルテミス。それは、愚かな人間どもにとっても、結局は良いことになるのだと、信じて。 廃墟に埋もれたあのボロボロの人形。象徴的です。そこには愛があったはず。子どもがいて、愛し合う夫婦が、家族がいた。けれど、そんなものもすべて破壊されてしまった。神の名のもと、その神の圧倒的な力によって。 神に誤りなどない。でも・・・この胸の痛みは何だ？と、おそらくアルテミスは自問自答していたのだろう。あの彼女（００３）が、全身で感じていた痛み。他の誰よりも強く。それと同じものに自分は苛まれている。 「痛みは伴うものだ」 それがアルテミスの導き出した答えだった。神はその業によって、人々に痛みや苦しみも与える。けれど、神は苦しまない。少なくとも、神がその力の行使に伴って痛みを感じたりすることはありえない。神の行為には是非はないから。そう、神は「いる」ものではなくて「ある」ものだから。（大謎ですみません〜！）ミュートスたちは、そこに「いる」。自分を神であると信じきっていた者が、本当の自分の姿に目覚めた時・・・。それは、たぶん来週のお楽しみ♪ 原作の「ミュートスサイボーグ」篇、どこかあっけらかんとした明るいカムフラージュがかかってますよね。絶望的な戦い。自分たちが正しいと、正義であると信じるものとの戦い、というものすごく重いテーマなんだけれど。平成版はそのあたり、がっぷり四つに組んで、健闘中ですな。さてさて、いよいよあのセリフですよ！ |
| next→ |