 |
こんな甘ちゃんに任せられるか！ 積極的に敵を倒せない００９に苛立つ００２。 君たちとは戦いたくなかった―――自分と同じ立場のサイボーグマンを倒したことに、深く心を痛めている００９。彼には、ああするしかなかった、とは思えない。もっとちゃんと説得すれば、きっとわかってくれたはず。彼らはＢＧに騙されているだけなんだ、と。甘いです、確かに。今置かれている状況が全然読めてない。でもね、００２。仕方ないのよ。「今」のジャパニーズ少年であるジョーには無理なの。だって、日本は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」してるのよ！「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」してるんだもの。やられる前にやる、とか、やられたら徹底的にやり返す、という発想ではないの。もちろん、日本１国だけがそうであってもだめ。この素晴らしい理念が世界中の国のコンセンサスとなるための努力をしなければ、真価を発揮できないことは明らかなんだけど。それどころか、今の平和がどれだけ重い代償の結果であるかなど、殆ど認識されることのない日本の日常。００２に非難される００９の姿は、何か紛争が起こるたび、欧米諸国から「平和ボケ」と突き上げられる日本そのもののような気がして・・・辛いです。そう言う意味でも、平成ジョーって、今の時代の少年（青年）と等身大だと思う。淋しい境遇だったかもしれない。でも、少なくとも彼は戦火に怯えながら生きてきたわけではない。「戦争」「殺し合い」などとは、無縁の生活をしていた―――あの日が来るまでは。 そんなジョーが悩み苦しみ続けつつ、仲間達に支えられながら成長していく姿。とっても楽しみです。その姿こそ、戦争の翳をかなり色濃く帯びている原作の世界に、今の子ども達をうまく連れて行ってくれるんじゃないかな。 そのジョーとは対照的なピュンマ。サイボーグになる前も戦いに明け暮れる日々だった。対峙した、最強のサイボーグマン―――彼こそが、共に闘ってきたかけがえのない友、ママドゥ。悲しい再会。あの一瞬、時間が凍りついたように止まった場面、ズキン、ときました。ママドゥが、ピュンマのことを「覚えている」だけに、いっそう辛い。でも最初からピュンマにはわかっていたはず。自分は彼を倒さなければならない。００８として。親友だったからこそ、自分の手で。何かを守ろうとする代償に、自分が引き受けねばらならない痛みを、ピュンマは、既にもう嫌というほど知っている。そして、どんなに辛くても、その痛みを乗り越えていかねばならないことも。 |
| next→ |