 １９８９年。ハンガリーで始まった民主化を求める運動は、東ヨーロッパ全体を巻き込む大きなうねりとなり、ついにはその２年後、ソ連そのものを消滅させることになる。レーニン像が民衆によって引き倒される。あの光景は、当時の東欧のあちこちで見られたものです。チェコのビロード革命。ベルリンの壁崩壊。そして東西ドイツの統合。あの頃、私は自分が大きな歴史の転換点に立ち会っていることに、感動と興奮を覚えました。歴史は動く。そのことを実感した１９８９年から１９９１年。ああ、でも。アルベルト様のお気持ちや如何に。サンクトペテルブルグ（旧レニングラード）に、足を踏み入れた時、あなたは何を考えたのでしょう？ヒルダと自分を引き裂いたもの。それがいまや「存在」すらしないのだから。うう、本筋とは全然違う冒頭で、私は胸が痛くなってしまいました。平和な日常の中に、見え隠れするＢＧの陰。新たな闘いの予感。可能性はあると覚悟していたけれど、いざ、幾つもの事実を目の前に突きつけられると、沈んでいく心。毎日のように「辛気臭い」会話が繰り返されているギルモア邸。仲間達の会話には何も言わず、イワンの揺りかごにそっと手をかけるフランソワーズ。前回、イワンちゃんの悲しい過去を見たせいか、彼女がイワンを抱く仕草が、いつも以上に優しく愛情に溢れているように見えて、切なかったです。これからのミュータント戦士たちとの闘い、きっとイワンが一番辛iい思いをするのだろうけど、でも君には家族のような仲間がいる。負けないで！ しかし。今度の敵は（も？）、とても彼らが太刀打ちできる相手ではない。助けを求めて逃げ込んできた若者を、目の前で殺されてしまう。為す術もなく、呆然と見つめることしかできない彼ら。いかに自分たちが無力であるかを思い知らされる。そしてギルモア博士は、ある男のことを考えずにはいられない。ＢＧ。超能力。ロシア。そうでないことを祈りつつも、何もかもが「彼」に結びつくものばかり。そして、不安は的中する・・・。 |
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