 平和な時間が過ぎていく街を、暴走するトラック―――波乱を感じさせるプロローグ。ギルモア邸の地下室。メンテナンスから目覚めたジョーが気づいた異変。音が聞こえない。ギルモア博士に直してもらわなくちゃ、と呟きながらリビングへと向かう。山田葉子さんが喜びそうな、整然とした美しいキッチン！（食洗機まであるのね） 「フランソワーズ！」 キッチンからダイニングへと向かっている彼女に声をかける。しかし彼女は振り向こうとしない。彼が近づいても、じっと前を向いたままの彼女の姿に、加速装置のスイッチが入っていたことに気づくジョー。（←ああっ！！可愛いっ！！可愛すぎますっ！！私、当分の間、破壊道はお休みし、３０年来の本来のあるべきジョーファンに戻ります；；うう、。だって、ホントに、今回のジョー、たまらなかったです〜！！） でも、スイッチは切れない。 「まさか、加速装置が故障して？」 ジョーだけが違う時間の中にいる。故障を直せるのは、博士だけなのに、その博士も違う時間の中だ。波は動かず、星も瞬かない。このまま、ほんの一秒が彼にとっての永遠の時間となるのか？ あわてて、街に駆け出していくジョー。きっと、この出来事が、ギルモア邸だけにかけられた悪い魔法だと思いたかったのね。でも、街中の全ては、やはり凍りついている。そこで見つけた事故。今まさに、爆発の瞬間。 助けたい。助けなければならない。それが出来るのは、彼らと違う時間の中にいるジョーだけだから。でも、生身の人間を助けることは出来ない。掴んで動かしただけで燃えてしまった紙。強烈な印象的でした。焦りながらも試行錯誤するジョー。爆発の炎を消すためには・・・ビルの上に飛び上がり、貯水タンクに素手で穴を空ける。でも当然、水は出てこない。 「馬鹿か、僕は・・・」（ああっ！！ここ、たまりませんでしたっ！！なんて可愛いのっ！！出てこない水を覗き込む顔も、そのあと、頭をかく仕草もっ！！！ごめんね、いつもいぢめて。でも可愛いからますます、いぢめたくなっちゃうのよ；；） そして、やっと彼は考えついた。一瞬で、事故の現場からあの子たちを移動させることが出来る方法を。 でも、ここまでの時間は、まだ救いがあった。懸命に考えて、必死になって行動していればよかったから。自分とは違う時間を生きている人たちのために、今の自分にしかできないことがあったから。何よりその間は、自分が一人ぼっちであることを、考えなくてよかったもの。 けれど、ギルモア邸に戻ったジョーを迎えたのは、さっきと全く変わらない表情でじっと前を見つめているフランソワーズだった。再び、深い絶望に襲われるジョー。 「フランソワーズ・・・」震える声で呟く。澄んだ瞳が哀しいほど美しい。何もいつもと変わらない。 ただ、キミに触れたいだけなのに。でも下手に触れたら、防護服を着ていないキミは・・・ 「本当に、僕はこのまま・・・」 彼女の優しい表情が、ジョーの孤独をいっそう深いものにしていく。 すぐそこに君はいるのに。同じ空間にいるのに、なぜ君は違う時間を生きている？ 思わず絶叫するジョー。それでも見つめずにはいられない。見つめれば見つめるほど、悲しくなると知っているのに、どうしてもその場から離れられない。テーブルの上に置かれた、彼女がアレンジした花を見ながら、奥歯のスイッチをかみ続けることしかできなくて。 その時、ジョーは気づいた。瞬きするフランソワーズに。そして思いしらされた。「僕と違う時間で、君は生きてるんだね」 何も知らずに。僕がこんな孤独の中にいるのに。僕も同じように生きてるのに。なのに、キミの声も聞けない。君には僕の姿など見えない。こんなそばにいるのに。 こうして、過ぎていく絶望の１ヶ月。デッキに横たわるジョー。離れたくない。彼女が見えない場所にいたら、僕は本当に一人ぼっちだ。でも、すぐそばにいることも辛い。そばにいても、今、やっぱり自分は独りだと思い知らされるから。悲しみにくれながら見上げた夜空に、旅客機の姿。日常生活で見かけるものの中で、最も速く動く「旅客機」でさえ、今は止まって見える。自分がどんな世界いるのかを、また思い知らされる。 そして、ギルモア博士の部屋で（この事態を何とかできるのは、博士だけなのだから、たまには様子も見なきゃね）、彼が自分宛の手紙を書いているのを見つける。博士は何を言おうとしている？でも、いったい何年かかるんだ？これが書き上がるまでに。それまで、自分はこのままなのか？たったひとりで、誰の声も聞けず、誰とも触れ合えず。彼女も、みんなすぐそばにいるのに。ますます、ジョーの絶望は深まっていくばかり。 |
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