 ドルフィン号に搭載する新メカを受け取るため、コンピュータに制御された未来型実験都市を訪れた００ナンバーたち。しかしそこで思わぬ事件に遭遇する。突然、００４が命を狙われた。得体の知れない視線に怯える００３。そして今度は００９が集中的に攻撃される。犯人は・・・都市の全機能を掌握する万能コンピュータ・スフィンクス。登録の瞬間から００３に恋愛感情を抱いたスフィンクスは、彼女をじっと監視していた。愛する人の全てを知りたい、という欲求のままに。けれどその結果、スフィンクスは思わぬ邪魔者の存在をはじき出す。００３と００９の様子から、００９を恋敵と判断したスフィンクスは、嫉妬に狂い、００９の存在を抹殺しようとした。様々な方法で００９を攻撃し失敗した挙句、ついに巧妙な手段をとる。全身の感覚を研ぎ澄ませて戦っている００９を、いとも簡単に油断させ、確実に殺せる、究極の凶器を使って。それが、スフィンクスの作り出した００３そっくりのロボットだった。００９がどんなに周囲を警戒していたとしても、「恋人」の姿をしたものを疑うはずがないから。００９を倒すべくプログラミングされ、体内に強力な爆弾を仕組まれたロボットが、計算どおり００９に近づいていく。警戒するどころか、むしろ「彼女」の身を案じる００９。だが、土壇場でスフィンクスの目論見は完全に崩れ去る。「彼女」が、００９を庇って１人で「死んだ」ために。目の前で起こった信じがたい光景に、冷静な判断力を失う００９。「死んだ」のは００３だと完全に思い込んで、絶望の涙に暮れていた彼のもとに、異様な爆発に気づいた００２がやってくる。「死体」の破片から、それは００３そっくりに作られたロボットだと、００９を正気づかせ、ギルモア博士の「推測」を伝える。００２が語る、スフィンクスが自分を狙った理由。もしそれが正しいとしても、ならばなぜ、ロボットは自分を庇った？自分を攻撃するために作られたはずなのに。なぜ「彼女」は「ひとりで死んだ」のか？訝しく思う００９。 一方、００３はスフィンクスに捕らえられ、脳にダイレクトに接続されて、人工知能が作り出した仮想現実の世界に引き込まれようとしていた。スフィンクスを愛することをプログラミングされた世界に。捕らえられた００３の映像を見た００９は、ひとりスフィンクスに立ち向かうことを決意する。自らの脳もスフィンクスに接続し、彼女をその誘惑から守り、取り戻すために。躊躇するエッカーマン博士。だが、そんな危険は承知の上の、００９の行動だった。 何も知らず、夢の世界を彷徨う００３。その目の前に現れる男。彼とはどこかで逢った？いや、そうじゃない。あの写真の男だ。彼女を理想の女性として、スフィンクスにプログラミングしたのは、エッカーマン博士の息子カールだったのだ。愛する人と、一面のバラに囲まれて、オーロラを見上げる。００３の、とりとめもなく非現実的な妄想。僕ならその夢をかなえてあげられる、とカールは００３に近づこうとする。が、その時――― 「００３！！」スフィンクスの作り出した世界に、突如響き渡る、必死の叫び声。やっと自分のものに出来ると思った愛する彼女は、無情にも闖入者の呼びかけに応えて駆け寄っていく。自分の制止にも耳を傾けようとはせず、それどころか、またもや自身を犠牲にしてまで、その男を庇おうとする彼女。思いのままにならないことに苛立ったカールは、彼女たちを撃ってしまう。空中に投げ出され、バラの園に落下していく２人。そして２人は一緒に、同じ光景を見ていた。空に広がるオーロラを。薄れゆく意識の中で、バラの香りだけが強く、甘く匂うのを、共に感じながら。そして２人は言う。 「強制される愛は、愛じゃない」「君はあらゆることを知っている。ただひとつのことを除いて」 ２人の静かだが、きっぱりと言い切る言葉に、カールは号泣する。彼女を自分のものにすることは出来ないと悟って。父親の懸命の説得に、恥ずべき記憶を放棄して、００３を解放するスフィンクス。カールに対して、一方的な愛しか注げなかったことを、今さらのように悔やむエッカーマン博士。一方的な愛し方しか出来ないカールにしたのは、自分だった、と。こうして事件は解決し、００ナンバーたちはコンピュートピアを去っていく。愛だけがプログラムされていない街。本当の愛は・・・決してプログラムなど出来るものではないから。 |
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