| 「ジョーが幸せだって思うのは、どんな時？」 穏やかな休日の午後、ソファに並んで腰掛けていたフランソワーズは、突然そんな事をジョーに尋ねた。 「どうして、そんな事を訊くんだい？」 「何となく、訊きたくなったの」 ジョーは少し考えるように眼を伏せ、それからフト顔を上げた。 「フランソワーズは？ どういう時に幸せだと思う？」 「私？」 フランソワーズは、ふふ、と微笑んで腕を伸ばしてジョーの首に巻き付けると、そのまましっかりと抱きついた。 ジョーがフランソワーズの背中に腕を回すと、フランソワーズははにかんだように笑みを浮かべて囁いた。 「こうしている時・・・かしら」 ジョーは破顔すると、少しだけ力を込めてフランソワーズを抱き締めた。 フランソワーズの身体は細く柔らかで、力を入れたら壊してしまいそうで・・・。 しかし、その中には誰よりも強くしなやかな魂が宿っている事を、ジョーは知っていた。 だからこそ、ジョーはフランソワーズに惹かれずにいられない。 「甘えん坊さん」 からかうように言って、素早くフランソワーズの唇にキスを落とし、笑みを浮かべてジョーは呟いた。 「僕も、人の事は言えないけどね」 一緒にいれば、抱き締めたくなる。抱き締めれば、キスしたくなる。 これほど愛しいと思ったのは、フランソワーズだけ。 「私がキスしたり、抱き合ったりしたいと思うのは、ジョーだけよ」 嬉しそうにジョーが笑う。 「僕もだよ」 甘い響きを持った声に、フランソワーズは微笑んで眼を閉じた。 フランソワーズを本当に愛しげに見つめて、ジョーはフランソワーズの１番好きな声で囁いた。 「愛してる」 恋人達の甘い甘い幸せの時間。 |
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